ニキビの原因といえば、アクネ菌が有名ですが、実はもう一種類原因になる菌があります。それがマラセチア菌です。どんな菌なのか、症状はどんなものなのか、治療法と予防法も含めてご紹介します。
マラセチアニキビとは?
マラセチア菌ニキビは正式にはマラセチア毛包炎といい、マラセチア菌という真菌一種のカビによる炎症です。厳密には顔ニキビ(尋常性座瘡)とは区別されています。
マラセチア菌によるニキビは治りにくい
顔よりも背中や胸、肩や二の腕にでき、アクネ菌のニキビよりもかゆみや痛みはありません。ただし、アクネ菌によるニキビは自然治癒率が比較的高いことに対し、マラセチア菌によるニキビは自然治癒率が低いため、治りにくいという特性があります。
見た目がニキビと同じため誤診されることがあります
また、大きく腫れたりしませんし、押してもつぶせず、中身も出ません。しかし、見た目がニキビと同じため誤診されることがあります。アクネ菌に効く薬を使用しても治らない場合は、マラセチア菌による炎症を疑ってみると良いでしょう。診断は膿や角質を取り、薬で染め顕微鏡でマラセチア菌の有無をみれば鑑別できます。
かかりやすい人
高温多湿の職場環境で働く人や、汗をかいた後にすぐに拭かないなど、かびが増えやすい環境であるとかかりやすいといわれています。
マラセチア菌は常在菌の一つです
マラセチア菌は皮脂分解酵素リリパーゼを分泌、皮脂を遊離脂肪酸とグリセリン分解、遊離脂肪酸が酸化されると炎症を引き起こすというアクネ菌と似た働きをします。マラセチア菌は5種類あり、このうちマラセチア・ファーファは毛穴に入ると身体が異物と認識して、免疫反応による炎症が起こります。
マラセチアニキビ治療と予防方法
病院での治療が一番早く治る方法です。抗真菌薬の服用や抗真菌外用薬を塗る治療を1〜2か月継続することで軽快します。外用薬のイオウカンフルローションも有効です。
予防法
予防法としては、アクネ菌同様に皮脂や湿気を好むため、オイリースキンの方は注意した方が良いでしょう。また、マラセチア菌は一種のカビですので、汗をたくさんかく夏場にできやすいので、汗をかいたらすぐに汗拭きシート等で汗をふき、マラセチア菌が増えないように心がけましょう。
脂漏性脱毛症を引き起こす可能性も
マラセチア菌はアクネ菌同様に背中や胸、肩や二の腕以外にも頭皮にできることがあります。頭皮でマラセチア菌が増殖すると、脂漏性脱毛症という髪が抜けやすくなる症状を引き起こすことがあります。あまりにも治りにくい皮膚症状がでたら、皮膚科を受診してください。
まとめ
一見ニキビのようだけど、なかなか治らない湿疹があったら病院へ行きましょう。見た目がニキビと同じため素人ではニキビなのか、マラセチア菌による炎症かを判別することはできません。
特に頭皮に治りにくい湿疹がある時は要注意です。頭皮に湿疹ができ、髪が抜けやすくなってきたら、マラセチア菌による炎症と疑って病院へ行きましょう。
近年は4月下旬から10月初頭まで暑い日が続きます。マラセチア菌が増殖しやすい期間が長くなっています。ニキビだけでなくマラセチア菌による炎症にも注意しましょう。